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生き方としての自由意志と運命論(マチネの終わりに)

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日常

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。
出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
芥川賞作家が描く、恋の仕方を忘れた大人たちに贈る恋愛小説

『マチネの終わりに』読みました。

イラクの情勢やクラシック音楽の知識もないうえに、表現も難解な部分もあり、難しかったなーという印象です。

とはいえ、読み終えたあとは、さわやかな気分になる、そんな恋愛小説でした。

聡明で繊細な二人の心情の機微、心の揺れの表現が素敵だったなぁと。

甘ったるい恋愛小説は好きではないですが、考えさせられる内容でした。

自由意志と運命論

ことさら、考えさせられたのは『人間の自由意志』と『運命論』です。

人は現在・未来に対しては自由であるとする『自由意志』と運命づけられているとする『運命論』。

相反する考えであり、どちらが合っていて間違っているわけでもない。

また、作中のメッセージでもある『過去の風景の変容』。

過去の事実は、現在の経験をもって「良い過去」にも「悪い過去」にもなる。

つまり現在に基づいて、過去も変容していく。

過去は切り取るタイミングによって、変容するし、それを自由意志と解釈するか運命論と解釈するかによって、心の持ちようも変わる。

卑近な個人の例を出すと、

私は大学受験で失敗し、志望校に合格できなかった。

一緒に勉強をしていた友人はみな合格し、自分だけ不合格だった格好だ。

当時、試験を振り返り『あぁ、あの問題はああすれば、、、』など色々と悔やんだ。

大学に入学し、部活をはじめ、友人にも恵まれ、充実した大学生活を送れた。

結果、大学卒業時には、この大学に入って良かった。受験に失敗し、この大学に入ったことで経験できた。運命だったんだ。

という具合。

不合格になった時点では、「悪い過去×自由意志」心に大きな負担を感じていた。

大学卒業時点では、充実した現在を繰り返し、「良い過去×運命論」として整理している。

作中でも「自由意志」と「運命論」について触れているシーンで、

「自由意志は人になくてはならない希望。だからこそ、『何かできなかったか』という悔恨に変わる」「未来と過去での矛盾そのもの」

「運命論の方が慰めになることもある」

と述べられている。

日々、生活をしていく中で、

『悔やまれることは割り切る』『過去は変えられる』

そんなメッセージ、希望を感じ、勇気づけられたので、綴った次第です。

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